温かくなり過しやすい季節になりました。その反面季節の変わり目にはアトピー性皮膚炎に
なりやすい原因も多く出ています。

2月から飛ぶ花粉、家に住み着いているダニ、暑い日には汗などの肌への刺激が原因となり、
元々アレルギー体質の人は特にアトピー性皮膚炎に移行しやすいようです。
私共の薬局でも「アトピー性皮膚炎で最近かゆみがひどくなった。」とか「皮膚が乾燥して
カサカサする。」とかアトピー性皮膚炎以外にも肌のトラブルを訴える方の相談が多いです。

そこで今回はアトピー性皮膚炎について特集します。

元々、アトピー素因を持っているアレルギー体質の人に、ストレス、
食事、ダニ、汗等が加わる事により、強い痒み、皮膚の炎症、乾燥等の
症状が現れる皮膚病です。
その他のアレルギー疾患(喘息、アレルギー性鼻炎等)が同時に
見られる事が多く、いずれにしても根気強く、治療していく事が大事です。

次のようなものがアレルギーの原因(アレルゲン)となります。
・ダニ・・・・・・・・最近の住宅は気密性が高くなり、ダニが繁殖しやすい環境となっています。
          アトピー性皮膚炎が大人に増えているのは、ダニの影響が大きいようです。
          (例: コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ等)

・ハウスダスト・・家のホコリの中に含まれるもの(例: ダニ、ダニの死骸、カビ、ペットの毛、
          花粉等)

・食物・・・・・・・・・主に乳幼児の子供はタンパク質が十分に消化されず、腸管壁を通過
           してしまう事があり、それが原因と考えられます。
           (例: 卵白、ミルク、小麦、大豆、米、トウモロコシ、胡麻、蕎麦等)

・花粉・・・・・・・・・アレルゲンになる植物の花粉の飛ぶ季節のみ、アトピー性皮膚炎の
           症状の出るタイプがあります。
           (例: ブタクサ、スギ、ヨモギ等)

・カビ(真菌)・・・・家の中が快適な温度、湿度に保たれるようになり、カビが生育しやすい
           環境になってます。カビだけでなく、その胞子もアレルゲンとなります。
           (例: カンジタ、ペニシリウム、クラドスポリウム等)

その他にも皮膚を悪化させる原因として洗剤(シャンプー、リンス等)、衣類の刺激、
皮膚を掻く事、ストレス、とびひ等の感染症等があります。

アトピー性皮膚炎は年齢によって症状の出る部位や皮膚の状態が異なります。
・乳児・・・主に顔に出やすい様です。よだれやミルク等の刺激により口の周り、頬、
      首にジクジクした発疹が繰り返し出て、それが全身に広がる事もあるようです。

・幼児、小児・・運動が活発になる時期で汗をかきやすくなります。その汗が原因で肘、
         膝の内側に発疹が出来やすいようです。又皮膚は乾燥してくる事が多いです。

・成人・・・全身の皮膚に発疹が出て、乾燥した状態になります。色素沈着を起こしたり、
      顔が赤くなったりする事があります。中々治りにくく、重症な場合が多いです。

●ダニやハウスダストを取り除く為にこまめに掃除して、部屋の中を清潔に保ちましょう。

●ペットはペット自身ががアレルゲンとなる為避けましょう。

●衣類は刺激になりやすい毛糸やジーンズ等を避け、綿類にしましょう。

●甘い物の摂りすぎや添加物等に注意して、栄養のバランスの摂れた食生活を送りましょう。

●身体を清潔にしましょう。(汗、垢、ふけ等は痒みを悪化させます。)

●日傘や帽子等で紫外線を防ぎましょう。

●ストレスを取り除きましょう。

西洋薬では「アトピー性皮膚炎」と診断されれば画一的にかゆみ止め、炎症を抑える
ステロイド薬などの塗り薬が使われる事が殆どです。

漢方治療は西洋医学のようにステロイド薬などの塗り薬はあまり用いず、内服薬による
治療を行います。東洋医学では皮膚の病気でも体の内側から治す事を目標としている
からです。

一方漢方治療同じアトピー性皮膚炎でも痒みが強くて、赤ら顔の人、患部がジクジク
している人、患部が乾燥している人、他に内臓の病気がある人、気管支喘息を患って
いる人など様々な症状により漢方処方が違ってきます。

アトピー性皮膚炎を東洋医学の「陰陽五行説」、「気・血・水」の立場で考えると花粉やダニ、
ハウスダストなどのアレルゲン物質の過敏反応やストレス、暴飲暴食などの生活環境の
悪化が原因で陰の臓器である「脾と腎」の機能が低下します。
「脾」は胃腸を意味し、脾は食物をエネルギー、血肉に変えます。
脾の低下は食物の吸収、利用を妨げ、人体の免疫力の低下を招きます。又便秘症状が
起こり、体内で食毒を作ります。
「腎」は腎臓を意味し、腎は余分な体内水分、老廃物を体外に排泄する役割があります。
腎の低下は水分排泄不良による水毒症状を起こします。

体内で出来た「食毒」、「水毒」が原因で「湿熱」と呼ばれる熱が発生し、皮膚の内側から
神経、リンパ節を刺激し、熱感、痒み、分泌物、乾燥肌を起こします。

又、ストレスなどで「気」が全身に行き届かなくなり、「気虚」と呼ばれる体のだるさ、
慢性疲労などもアトピー性皮膚炎の原因に挙げられます。

他に漢方では最初に診る診断的概念として「証」があります。
体力が充実していて、胃腸も丈夫な人は「実証」が多く、体力が無く、胃腸も弱く、顔色が
青白い人には「虚証」、その中間の人が「中間証」というように、その証に応じて処方も
選ばれます。

参考・・・漢方では陰の臓器(五臓)として⇒肝、心、脾、肺、腎
           陽の臓器(六腑)として⇒胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦

治頭瘡一方
(ヂヅソウイッポウ)

(別名 大キュウ黄湯)
(第2類医薬品)
実証で頭部、顔面に特に症状の出る人。発赤、丘疹、
水疱、滲出液等が見られ、痒み、化膿を伴う事が
多く、便秘傾向の人。
消風散
(ショウフウサン)

(第2類医薬品)
実証で痒みが強く、局所の熱感があり、湿潤のある
人。
分泌物があり、痂皮も多く、地肌は赤味を帯びて、
口渇を伴う事が多いです。
熱を冷ます「石膏」を含みます。
温清飲
(ウンセイイン)
(四物湯と黄連解毒湯の合法)

(第2類医薬品)
皮膚が黄褐色で乾燥して分泌物が少なく、痒みが
強い人。
のぼせ、イライラがあり、熱感のある人が多いです。
四物湯の温で血行を良くし、黄連解毒湯の清で
血熱を冷まし、お血を去ります。
十味敗毒湯
(ジュウミハイドクトウ)

(第2類医薬品)
慢性の発疹に使われる事が多く、患部の痒みが
強く、発赤のある人。解毒の効があり、体質改善の
目的で用いられる事もあります。
痒みの強い時、連翹を加える事があります。
当帰飲子
(トウキインシ)

(第2類医薬品)
分泌物、赤みが少なく、皮膚は乾燥していて痒みが
強い人。
特に老人性の湿疹に使われる事が多いです。
荊芥連翹湯
(ケイガイレンギョウトウ)

(第2類医薬品)
皮膚が暗渇色で慢性化した人に使われます。蓄膿症
等炎症を伴う事があります。
体質改善の目的で用いる事もあります。
白虎加人参湯
(ビャッコカニンジントウ)

(第2類医薬品)
口渇、のぼせ、局所的灼熱感、痒み等がある人。
火照りを取る「石膏」が含まれます。
◎以上がよく使われる漢方処方で  煎じ薬1日分 約300円+税〜350円+税です。
                       粉末1日分 約210円+税〜350円+税です。
重薬
(ジュウヤク)
(生薬名:ドクダミ)

(第3類医薬品)
全草にはイソクエルシトリン、クエルセチン
等が含まれ、抗菌、解熱、解毒、消炎作用
がある為皮膚疾患に用いられます。

1日量約.10gを水600cc〜800ccで煎じて
お茶代わりに常用します。
重薬(全草)
500g 1,500円+税

重薬(箱)
5gX24パック 500円+税
重薬(粉末)
500g 2,000円+税
ヨクイニン
(第3類医薬品)
種子にはコイキセノライド、でん粉、
タンパク質、
脂肪油等が含まれ、排膿、
消炎、肌荒れ、滋養強壮
作用があります。
1日量約.10g〜20gを水600cc〜800ccで
煎じてお茶代わりに常用します。
ヨクイニン(種子)
500g 500円+税
ハトムギ(粉末)
500g 1,000円+税
スイカズラ
(生薬名:金銀花)
(生薬名:忍冬)
(第3類医薬品)
金銀花(花蕾)、忍冬(茎葉)にはタンニン、
サポニンのロニセリン、イノシトールリノレン酸
等が含まれ、消炎、解毒作用がある為化膿性
皮膚炎等に用います。
1日量約.10gを水600ccで煎じて1日2〜3回
服用します。又浴湯料としても用いられます。
金銀花(花蕾)
500g 4,000円+税
忍冬(茎葉)
500g 1,500円+税
オウバク
(生薬名:黄柏)
(第2類医薬品)
樹皮にはアルカロイドのベルベリン、苦味質
のオーバクノン等が含まれます。
煎じて飲むと健胃・整腸作用があり、浴湯料
として用いると、殺菌、抗菌作用がある為、
皮膚疾患に効果があるようです。
黄柏(樹皮)
500g 1,500円+税
黄柏(粉末)
500g 2,500円+税

★紫雲膏: ・当帰、紫根、胡麻油、蜜蝋、豚脂が配合された軟膏です。
        ・当帰は排膿を良くし、皮膚をよく潤し、滋潤通和の剤で、
         紫根は解熱、解毒、殺菌の効があります。

        ・(小)350円+税、(中)500円+税、(お得な大)1,200円+税の物がございます。

その人によって症状や体質は異なります。
あなたに合わせたオーダーメイドの漢方処方を調合します。
ぜひ一度やなぎ堂薬局にご相談ください。
Copyright(C)2005 yanagidou All Rights Reserved.